フレンドリーかつクリエイティブ。
スケートボードというスタイルの魅力
ある平日の朝にパークを訪れると、ひとりの女性が颯爽と滑っている様子が。邪魔をしないようにと思いながらも少しだけ話を聞かせてもらえないかと尋ねたところ、快諾してくれました。
―おはようございます。パークにはよく来られるんですか?(大西さん)
「はい、よく来ます。週に2、3回ぐらいですかね。もともとスケートボードはやりたいと思って持っていたんですけど、どこで滑ったらいいんだろうと思って全然やってなかったんです。それでこのパークができたタイミングからスケートを始めました」
―この場所がスケートボードを始めるきっかけになったなんて、うれしい話だなあ。僕らはこのパークをつくった者なんですよ(市森さん)
「えっ、そうなんですか! おかげでいつも楽しく滑らせてもらっています。私は神奈川県横浜市出身なんですけど、山が好きなので富山で暮らしたいと思っていたんです。それで富山の就職先を探して移住しました。このパークでけっこう知り合いも増えたので、パークがあって良かったなと思ってます。ありがとうございます」
彼女は笑顔でそう話すと、ボードを抱えて滑りに行きました。パークができてからスケートボードを始めて半年ほどになるそうで、慣れた様子で自由に楽しんでいる姿が印象的でした。細かいルールを設けずとも、ひとりひとりが思い思いに過ごすことができるパークはまさに、他者との関わり方を考えるうえでも重要なひとつの指針になりそうです。
「スケートボードそのもののキャラクターがあると思っていて、それはすごくフレンドリーであるということ。だから上級者が初心者を排除するなんていうことは絶対にしない。お互い知らない人同士でもここで会う人たちに通じる仲間意識のようなものがあったり、気づいたら友だちになっていたり。そういうマインドがあるからこそ成り立っているのであって。オリンピックや大会を観ていてもわかるように、競う相手は敵じゃない、そういう精神がありますよね」(市森さん)
スケートボードの魅力は、競技的な側面はもちろん、本来の発祥であるストリートカルチャーの文脈から辿ることで見えてくるおもしろさもあるとふたりは話します。
「スケートボードって、だれでも始められるじゃないですか。創造力のスポーツであり、自己表現の世界とも色濃く結びついているクリエイティブなもの。そこがやはり魅力です。ストリートから生まれるカルチャーであり、ダイレクトではなくともまちづくりやまちの魅力の要素のひとつでもあると思います」(市森さん)
「私自身もスケートボードをやるんですけど、そういう結び付きは強く感じますね。ヒップホップやアートの世界で活躍しているスケーターが多いのもそういうことなのかもしれません」(大西さん)