八尾町の老舗酒造〈玉旭酒造〉が届ける、
富山産にこだわった丹精込めた1本を
富山市の南西部、「越中八尾おわら風の盆」で知られる八尾町。昔ながらの情緒が色濃く残るまちで、1808年の創業から210年以上、県内有数の老舗酒造場として、北アルプス立山連峰の恵みである軟水地下水を使い、すべて富山県産米を採用し、こだわりある酒造りを続けてきた〈玉旭酒造〉。
玉旭酒造にとって能登は深いつながりがあり、酒造りにおいても忘れてはいけない存在だといいます。先代まで能登杜氏組合所属の杜氏、蔵人により酒造りを行ってきました。そして、現在13代目当主を務める玉生貴嗣(たもうたかつぐ)さんも、能登杜氏のもとで酒造りを学んできたのだそう。
「厳冬期は日本酒造り最盛期。本来ならば活気に満ち溢れていたであろう酒蔵が復旧作業に追われ、酒造りを中断せざるを得ない状況に心が痛みますが、微力ながらこの地で培ってきた酒造りを通して、支援を行っていけたらと思っています」(玉生さん)
伝統を継承し、革新的な取り組みも。
〈三郎丸蒸留所〉のウイスキー造り
北陸で最古のウイスキー蒸留所〈三郎丸蒸留所〉を運営する、砺波市の〈若鶴酒造〉。2017年の大規模改修により、新たなスタートを切った〈三郎丸蒸留所〉では、伝統を継承しながら、数々の革新的な取り組みに挑戦しています。
2019年からは、高岡市の伝統産業である高岡銅器の技術を活かして世界初の鋳造製蒸留器「ZEMON(ゼモン)」で蒸留した原酒の商品化など、地元の産業振興に寄与する取り組みにも力を入れています。
「〈三郎丸蒸留所〉もこれまで決して平坦な道を歩んできたわけではありませんが、地震の影響で今期の酒造りを断念せざるを得ない仲間たちもいる。そのような状況のなかで、70年以上もウイスキー事業を続けられたのも人々の支えがあったからこそ」とウイスキーでお返しをしたいという思いが強くあるそう。
日常で段ボールを活用し防災意識も高める
段ボール製造会社〈サクラパックス〉
富山市の段ボール製造会社〈サクラパックス〉では、段ボール製のベッドやパーティション
などを製造し、氷見市や石川の避難所に無償で提供を行いました。1月5日から支援を開始し、約1200個のベッドを届けています。
2011年の東日本大震災をきっかけに、段ボールを活用した防災関連商品の開発、県民の防災意識を高めるワークショップの開催にも積極的に取り組んできました。
災害発生時の避難所では、まずは命をつなぐことが優先されますが、衣食住の供給が安定してからは、メンタルヘルスのケアも大切になります。
『段ボールでまもろう』のWebサイトやSNSでは、物資が運び込まれた後に出る不要な段ボールなどを使って、簡単に工作できるアイテムを開発し、その作り方など、役立つ情報をお届けしています。
避難所や自宅で手に入りやすい段ボールでつくれる、避難生活アイテムの紹介や、防災に関する豆知識など、日々発信しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
能登半島地震によって被災しながらも、自分たちのまちの魅力を発信する宿泊施設、富山の風土を生かした酒造りを続ける酒蔵やワイナリー、防災に関する役立つ情報を届ける地元企業……、さまざまな立場から、この先の未来を見据えて、富山県内でも着実に広がっている支援の輪。
今年3月には、北陸新幹線が福井県の敦賀まで延伸され、北陸3県へのアクセスもより便利に。北陸を、能登を、富山を元気に。『doors TOYAMA』では一日も早い復興を願って、今こそ富山の多彩な魅力を日々発信していきます。
credit text:『doors TOYAMA』編集部