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〈宇奈月温泉 延楽〉の個室半露天風呂
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美肌の湯・宇奈月温泉で起きた異変!
美肌成分が増した雪見温泉風呂を満喫しよう

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震災を境に美肌の湯・宇奈月温泉の
保湿成分が4倍に!

大きなV字を刻む黒部峡谷に位置する、富山県最大の温泉地・宇奈月温泉。無色透明で、弱アルカリ性の泉質は「美肌の湯」として知られ、黒部ダムや黒部峡谷鉄道と合わせて、黒部エリアの観光名所として、1年を通じて多くの観光客が訪れます。

しかし、2024年元日の能登半島地震の影響により、宇奈月温泉駅から、黒部峡谷の奥地にいたる欅平(けやきだいら)駅を結ぶ黒部峡谷トロッコ電車は、途中駅の猫又駅までの運行となり、2025年に開業予定だった〈黒部宇奈月キャニオンルート〉も、2026年以降といまだ開通のめどが立っていません。

一方で震災の影響によって、宇奈月温泉の泉質に思わぬ変化があったと、宇奈月温泉旅館協同組合の担当者は言います。

「最初に温泉の変化に気がついたのは、宇奈月温泉の旅館の方々でした。震災から2日後、各旅館から宇奈月温泉旅館協同組合に『(本来は無色透明のお湯に)うっすらと赤茶色の色がついている』と連絡がありました」

富山地方鉄道宇奈月温泉駅と駅前の〈百年時計〉
宇奈月温泉の玄関口、富山地方鉄道宇奈月温泉駅。駅前広場には温泉が湧き出る温泉噴水と、開湯100年を記念して建てられた〈百年時計〉。(写真提供:宇奈月温泉観光局)

そこで、温泉の供給を管理する黒部観光開発株式会社が温泉の成分調査をしたところ、殺菌効果があるマンガンイオン含有量が75倍、保湿効果のあるメタケイ酸の値が4倍となっていたのです。かねてより「美肌の湯」として知られる泉質に磨きがかかったと、震災の思わぬ影響に驚きを隠せませんでした。

「でも、しばらくするとお湯の色がまた無色透明に戻ってしまったんです。もともと『無色透明』を謳っていたので、ぬか喜びに終わったなと。

それでも、昨年末に改めて泉質を調査したところ、お湯の色は無色透明に戻ってしまいましたが、メタケイ酸の値は4倍のままだったんです!」

震災後にお湯の色が変化したと大々的に報道されたので、それを求めて訪れるお客様に申し訳ないという気持ちもありましたが、「美肌の湯」は磨きがかかったまま健在、とひと安心したそうです。

宇治と奈良に並ぶ「名月」の地として
「宇奈月」と命名

宇奈月温泉駅に併設する足湯「くろなぎ」
温泉街の各所には足湯が。宇奈月温泉駅に併設するのは駅の足湯「くろなぎ」(写真提供:宇奈月温泉観光局)

宇奈月温泉は1923年に開湯。2023年に開湯100年を迎えました。

宇奈月温泉の歴史は、黒部川の電源開発が進められた大正時代まで遡ります。急峻な山岳地帯での開発工事は、厳しい自然のなか困難を極め、その作業員の福利厚生施設として始まったのが宇奈月温泉でした。宇奈月温泉よりもさらに上流にある黒薙温泉が源泉となり、開湯から50年にわたり、赤松をくり抜いたおよそ3500本もの木管をつなぎ合せて埋設され、引湯されました。

その後、工期が終わったあとも温泉施設として残してほしいという地域の声を受け、一帯を温泉街として整備することになります。黒部川電源開発の功労者である、山岡順太郎と山田胖が「うなづき」というもとからあった地名に、宇治や奈良に並ぶ名月の地としようという思いを込めて「宇奈月」の字が当てられました。

〈総湯〉の外観
温泉街にある日帰り入浴ができる〈総湯〉。(写真提供:©(公社)とやま観光推進機構)

現在の宇奈月温泉は、富山地方鉄道の宇奈月温泉駅の駅前広場が玄関口となり、広場にある〈温泉噴水〉や開湯100年を記念して建てられた〈百年時計〉が旅行者を出迎えます。

宇奈月温泉には10の温泉旅館と2つの宿泊施設が営業し、土産店や食事処が軒を連ねるコンパクトながら凝縮された温泉街が広がっています。

黒部川沿いに立つ旅館〈サン柳亭〉の外観
多くの旅館は黒部川沿いに立ち並び、黒部峡谷を一望できる客室が人気。(写真提供:宇奈月温泉観光局)

また、少し足を伸ばすと、黒部峡谷や黒部川、そこにかかる橋梁がつくる雄大な景観を楽しむことができます。

黒部峡谷鉄道宇奈月温泉からトロッコ電車に乗って、峡谷のさらに奥まで足を伸ばすも良し。電源開発のあゆみをたどりながら整備された散策路を歩くも良し。温泉街を起点に、一帯の観光スポットを1日で周遊できるのも宇奈月温泉の魅力です。

雪見風呂が楽しめる
宇奈月温泉、おすすめの宿

四季折々で美しい景観が楽しめる宇奈月温泉ですが、やはり醍醐味は湯船から白銀世界の黒部峡谷を望む、雪見風呂。

なかでも、黒部川沿いに面した温泉旅館では、プライベート時間を満喫できる露天風呂つきの客室や、雪化粧をした黒部峡谷の大パノラマを一望できる大浴場がある旅館など、とっておきの雪見風呂が楽しめる旅館があります。そのなかからおすすめの宿をご紹介します。

峡谷の大パノラマを望む絶景露天風呂 
黒部・宇奈月温泉 やまのは

湯船に段差のついた〈宇奈月温泉 やまのは〉の棚湯
(写真提供:黒部・宇奈月温泉 やまのは)

〈黒部・宇奈月温泉 やまのは〉では、絶景展望露天風呂〈棚湯〉(写真上)、大浴場〈大黒部〉、そして、貸切風呂の3つのお風呂が楽しめます。〈棚湯〉は文字通り、湯船に棚田状の段差があり、真正面に広がる黒部峡谷には、トロッコ電車が橋を渡る姿を見ることができます。

〈宇奈月温泉 やまのは〉の客室
(写真提供:黒部・宇奈月温泉 やまのは)

本館、別館合わせて142室の客室は、ツインルームからファミリータイプまで、最大10名で宿泊できる大部屋も用意されています。

エントランスやカフェラウンジスペース(写真下)は、黒部峡谷側が一面ガラス張りとなっており、180度の大パノラマが宿泊客を出迎えます。

〈宇奈月温泉 やまのは〉のカフェラウンジ
(写真提供:黒部・宇奈月温泉 やまのは)
Information
黒部・宇奈月温泉 やまのは
address:富山県黒部市宇奈月温泉352-7
tel:0765-62-1311
access:富山地方鉄道宇奈月温泉駅から徒歩3分
受付時間:9:00~19:00
Web:黒部・宇奈月温泉 やまのは

リニューアルしたばかりの露天風呂つき客室 
宇奈月温泉 延楽

〈宇奈月温泉 延楽〉の客室〈露天風呂付き 石〉の湯船
(写真提供:宇奈月温泉 延楽)

2021年からリニューアルされた客室を増やしている〈宇奈月温泉 延楽〉は、さまざまなタイプの露天風呂つきの客室が魅力です。檜や石、陶器でつくられた湯船が客室ごとに異なり、全室が峡谷側を向いて配置されています。また、2025年2月にはさらに新たな2つの露天風呂つき客室をオープン予定です。

創業は1937年と、宇奈月温泉の開湯後まもなくこの地で営業をはじめ、料理人でもあった〈延楽〉の初代・濱田竹次郎はその腕前で多くの著名人をもてなし、館内には〈延楽〉に逗留した芸術家たちの作品が飾られています。食事は、個室の食事処か、各客室での提供と、料理人が創業したからこそ、食事の時間に大切にするプライベートな空間が保たれています。

ぶりしゃぶや刺身など〈宇奈月温泉 延楽〉で提供される料理4種
(写真提供:宇奈月温泉 延楽)
客室〈露天風呂付き 檜〉の湯船
(写真提供:宇奈月温泉 延楽)

各客室の露天風呂以外にも、大浴場もあり、樹齢400年のヒノキの露天風呂〈華の湯〉、黒部川の流れをイメージした岩の露天風呂〈琴音の湯〉、そして男女それぞれの内風呂にはサウナを完備しています。

大きな露天風呂〈華の湯〉から紅葉した山々が見える
(写真提供:宇奈月温泉 延楽)

そして、宇奈月温泉では唯一の富山の植物を使ったアロマエステサービスを提供しているほか、富山のガラス作家の作品や、上質な器が販売されています。さらに、2023年からオープンした文化サロン〈清渓〉では、音楽家たちによるクラシック音楽コンサートを開催するなど、リニューアルを経て、老舗旅館の奥ゆかしさを継承しながら、時代のニーズに沿ったもてなしを提供しています。

Information
宇奈月温泉 延楽
address:富山県黒部市宇奈月温泉347-1
tel:0765-62-1211
access:富山地方鉄道宇奈月温泉駅から徒歩5分
受付時間:8:00〜20:00
Web:宇奈月温泉 延楽

トロッコツアーから雪上花火まで
冬の宇奈月温泉を楽しもう

温泉街から花火が見られる〈宇奈月温泉冬物語 雪上花火大会〉の打ち上げの様子
(写真提供:宇奈月温泉観光局)

冬の宇奈月温泉の楽しみは雪見風呂だけではありません。雪化粧をした黒部峡谷や、冬の温泉街の佇まいを楽しめるさまざまなイベントが行われています。

〈冬の黒部峡谷プレミアムツアー〉は、白銀の景色のなか、新山彦橋をトロッコで渡り、黒部川の電源開発の歩みを学べる〈黒部川電気記念館〉や、トロッコの〈機関車検修庫〉を見学できるツアー。専属スタッフの案内のもと、2025年は2月24日までの毎週土・日曜、祝日に、1日4回行われています。

一帯が白銀の中で真っ赤な新山彦橋が際立っている風景
(写真提供:©(公社)とやま観光推進機構)

また、1〜3月の毎週土曜には〈宇奈月温泉冬物語 雪上花火大会〉が開催されています。山側のスキー場近くの公園から打ち上がる花火を温泉街から見上げることができ、冬の澄みきった夜空に打ち上げられる花火と温泉街に響き渡る轟音は宇奈月温泉の冬の風物詩として、多くの観光客で賑わいます。

宇奈月温泉は、震災による泉質変化でさらに「美肌の湯」として魅力が増しました。そして、個性豊かな温泉宿がそろい、トロッコツアーや雪上花火大会といったイベントも楽しむことができます。黒部峡谷の大自然に抱かれた温泉街の歴史を感じながら、冬ならではの体験を楽しみましょう。

Information
宇奈月温泉旅館協同組合
address:富山県黒部市宇奈月温泉638-2
tel:0765-62-1021
Web:宇奈月温泉旅館協同組合
Information
冬の黒部峡谷プレミアムツアー
料金:大人4000円、子供2000円(未就学児は無料)
開催期間:1月11日から2月24日までの毎週土曜・日曜、祝日。各日4回開催。
所要時間:約90分
Web:黒部峡谷トロッコ電車
宇奈月温泉冬物語 雪上花火大会
料金:無料
開催時間:20:30から約10分間
開催期間:1~3月までの毎週土曜日

credit text:山田卓立

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