富山のお土産といえば、まず思い浮かぶのが「ます寿し」ではないでしょうか。ほかにも、シロエビやホタルイカ、ブリなど富山を代表する海産物や、細工蒲鉾、老舗店のスイーツなど、おいしい名産品はたくさんあります。
今回は知名度No.1の「ます寿し」をはじめ、冬の味覚「かぶら寿し」など、富山ならではの味をピックアップ。数ある「富山らしさ」が伝わる逸品のなかから、地元情報誌『Takt』がおすすめする8選をご紹介します。歴史ある昔ながらの定番から、ここでしか味わえない珍味など、ぜひお楽しみください。
「THE 富山」の定番土産! ます寿し
富山土産の代表格「ます寿し」。その歴史は古く200数十年以上にもわたります。ほどよい酸味と香り高い笹に包まれた伝統の味は店ごとに異なり、その特徴を食べ比べするのも楽しみのひとつ。定番から工夫を凝らしたます寿しまで、おすすめのお店を紹介します。
天然サクラマスのます寿しを次の時代へ
〈青山総本舗〉
富山駅前に店を構え、伝統的な手づくりの技に古くからのファンも多い〈青山総本舗〉。希少な天然のサクラマスを使ったます寿しを食べてほしいという店主の想いをかたちにしたのが、〈特選 鱒の寿し一段(銘々包み)〉です。
酢飯は、羅臼昆布のダシで炊いたコシヒカリに千鳥酢を合わせ、冷めても甘みが残るようにしているそう。口に運んだ瞬間に酢飯が解け、〆たサクラマスの旨みが広がります。食べやすいようにとひと切れずつ笹で包み、上質な特製の風呂敷も上品で、大切な人への贈り物にも最適。
駅構内や土産店でます寿しを購入するのもいいですが、富山駅から徒歩で行ける距離に本店があるので、ぜひお店にも足を運んでみてください。つくり手のこだわりや思い、歴史などについて会話を重ねれば、ます寿しがよりおいしく感じられるはず。
tel:076-432-5324
access:富山駅から徒歩約3分
営業時間:8:00~13:00(売り切れ次第終了)
定休日:日・月曜(月曜が祝日の場合翌日休み)
Web:青山総本舗
駅弁誕生から100年を超える伝統の味
〈源ますのすしミュージアム〉
駅弁〈ますのすし〉が誕生して百余年。全国にその名が知れ渡る〈源〉の伝統の技を見て、味わい、購入できるのが富山市の〈源ますのすしミュージアム〉です。
明治45年、富山の郷土料理「ます寿し」を駅弁として販売し、全国にその名が知れ渡る〈源のますのすし〉。おいしさの秘密は、材料や製法への徹底したこだわりにあります。
ますのすしに最適な魚を現地に出向き、目で見て、手で触れて、まるごと1尾で仕入れ、お寿しにふさわしい富山県産米を毎日精米して炊き上げます。温度や湿度によって水加減や火加減、時間を調整するなど、おいしさへの探求心は尽きません。食材はもちろん、調味料や容器にまでこだわって選んでいます。
そのこだわりと、伝統の技を「見て・味わい・体験」できるのが〈源ますのすしミュージアム〉です。工場見学では、笹付けや押しをかける押し機など、手作業と機械が連携しながら、ますのすしがつくられる過程をガラス越しに見ることができます。
また、〈ますのすし伝承館〉では、昔ながらの製法による寿しづくりを通し、職人の技術と心を継承しており、その姿を見学することもできます。ますのすしの手づくり体験(要予約)もでき、自分でだけのますのすしをお土産にするのもいいですね。館内には売店もあり、ますのすしだけでなく、富山県内のさまざまなお土産物も購入できます。
tel:076-429-7400
access:富山ICから車で約8分
営業時間:9:30~17:00(1・2月は~16:00)
休館日:無休 ※設備点検などの理由により、臨時休館する場合あり
Web:ますのすし本舗 源
ます寿しと昆布がコラボレーション
〈吉田屋鱒寿し本舗〉
富山県民が消費量全国トップクラスの昆布と、ます寿しが融合した〈昆布鱒寿し〉を味わえるのが富山市の〈吉田屋鱒寿し本舗〉。誕生のきっかけは「昆布を使ったます寿しが食べてみたい」というお客さんのひと言だそう。
笹の葉を広げると鮮やか薄紅色のマスが目に入ってきますが、酢飯の下にはおぼろ昆布を、マスの下にはバッテラ昆布を。2種類の昆布の旨みとます寿しが口いっぱいに広がります。
昆布のほかには梅しそ入りのます寿しや、マスでシャリをサンドした〈鱒の寿し両面〉などバリエーションも豊富。代々伝わる技巧と新しさを掛け合わせ、進化し続けるます寿しに注目です。
tel:076-421-6383
access:富山駅から徒歩約15分、市電安野屋駅から徒歩約1分
営業時間:7:00~18:00(完売次第終了)
定休日:第2・3木曜、日曜・祝日は主に予約販売のみ、ほか不定休あり
Web:吉田屋鱒寿し本舗
昔ながらの郷土の味! かぶら寿し
古くから県西部を中心に根づいている「かぶら寿し」は、砺波平野で採れたカブにブリやサケ、サバなどを挟んだ、冬だけに味わえるご馳走です。かつてはお正月には欠かせない一品でした。受け継ぎたい郷土の味をつくり続ける名店をご紹介します。
小矢部川のほとり、良質なカブで
〈三和食品 かぶらや〉
富山県南砺市を中心につくられてきた伝統の郷土料理「かぶら寿し」。南砺市の〈三和食品 かぶらや〉では、塩漬けの白カブにブリやマス、サバを挟み、麹を糖化させた甘酒で漬け込んで乳酸発酵させてつくられています。
真っ白でさくさくとした食感の良質なカブと、新鮮なうちに塩漬けされた魚との相性が抜群で、どこかほっと安心する味わい。やさしい歯ざわりと豊潤な麹の甘みを存分にお楽しみください。
ほかにも、カブの代わりに大根を使いシャキシャキとした食感が楽しめる〈大根寿し〉も人気。カブとはまた違う歯応えと風味が、季節問わず味わえます。
tel:0763-52-0284
access:福光ICより車で約10分
営業時間:9:00~17:00(短縮営業の場合あり)
定休日:水曜(11月からは年内無休)
※そのほか富山県内ショッピングセンターなどで販売。
Web:三和食品 かぶらや
柿のような甘みの
白カブが魅力〈よね田〉
創業時は鮮魚店だった南砺市の〈よね田〉のかぶら寿しは、お刺身用の新鮮な魚と、南砺市の契約農家で丹誠込めて育てられた白カブを使用。一番人気の〈福丸〉を筆頭に、お客さんの要望に応えながら種類も多彩です。
〈米甘〉もそのひとつで、漬ける際の原料に砂糖や添加物を加えておらず、米と麹の発酵で生まれる自然の甘みが引き立っています。ホイップクリームを塗ったケーキのような見た目も特徴的。
また、西洋カブを使うことで一年中食べることができる〈肴菜と糀ミルフィーユ〉は、かぶら寿しの製法をもとにした新感覚の麹漬けとして人気があります。ほかにも、鮮魚の取り扱い経験を生かし、新鮮な魚を使ったさまざまな商品を販売。富山の美食を全国に届けたいという思いから、オンラインショップ、SNSでも発信しています。
tel:0763-52-8123
access:福光ICより車で約10分
営業時間:10:00~17:00
定休日:土・日曜(12月は無休)
※そのほか〈大和〉富山店、高岡店などで販売。
Web:よね田
自然素材にこだわったおいしさ
〈高澤食品本舗〉
小矢部市の〈高澤食品本舗〉では、保存料やアミノ酸を一切使わずに、昔ながらの製法で地元に伝わる味をつくり続けています。
昼夜の寒暖の差によって身がギュッと締まった福光産の早生大カブは、減農薬で育てられており糖度が高いのが特徴。そこに厚切りブリを挟んでじっくりと漬けてあります。冬の脂がのったブリ本来の味が楽しめるよう、特別な調理法で一層おいしく仕上げてあるそうです。
ほかにも高澤食品本舗では、キムチや漬物などの郷土料理も製造・販売しています。全国の契約農家とともに減農薬野菜を育て、体に安心で、何よりもおいしいと喜ばれる商品をつくっています。
tel:小矢部東ICより車で約7分
access:0766-68-1275
営業時間:8:15~17:15(事前連絡で時間外対応可能)
定休日:日曜
※そのほか高岡市の〈発酵美人カフェさくら〉で販売。
Web:高澤食品本舗
まだある! 富山らしいグルメな珍味
ほかにもまだまだ地域に根差した郷土の味がたくさんあります。昔ながらの食文化が感じられる豪華な珍味をご紹介します。
稀少なブランド牛を昆布の旨みとともに
〈氷見牛専門店たなか〉
直営牛舎を持ち、肥育から精肉販売まで一貫して行う氷見市の〈氷見牛専門店たなか〉。稀少なブランド牛〈氷見牛〉をローストビーフにし、昆布で締めた高級珍味が〈ローストビーフ昆布〆〉です。
自慢の氷見牛をよりレアに近い状態のローストビーフにし、昆布の旨みで包むことで、肉の旨みが一層際立つ最高の酒の肴に仕上げてあります。冷蔵庫でゆっくり解凍し、生姜醤油やわさび醤油でいただくのがおすすめ。
販売所では、精肉のほかにも氷見牛コロッケやメンチカツなどの揚げたてが味わえるほか、隣接する焼肉店で、氷見牛のおいしさを気軽に堪能できます。
tel:0766-73-1955
access:氷見ICから車で約8分
営業時間:9:00~19:00 お食事処11:30~14:00(14:30L.O.)、17:00~20:00(21:00L.O.)
定休日:水曜、第1・3火曜
Web:氷見牛たなか
魚津に受け継ぐ、天然ブリの極上の旨み
〈ハマオカ海の幸〉
魚津漁港の真正面に店を構え、干物や冷凍魚の卸売、小売業を営んできた〈ハマオカ海の幸〉。
冬の冷たい海でとれる「寒ぶり」は身がしまり、脂がたっぷりのっているので、霜降り肉のような旨みがあり、最もおいしいとされています。 その寒ぶりを、熟練の職人技により塩で締めたあとに浜風で干し、独自に培った熟成技術で一年中おいししいく味わえるように仕上げたのが〈寒の汐ぶり〉。ブリの時期が終わっても、熟成を経て旨みを増した贅沢な味わいが楽しめます。
〈寒の汐ぶりスライス〉は、手軽に味わってもらえるようにと、スライスにしたもの。まるで高級な生ハムのような味わいで、わさびや柚子胡椒、オリーブオイルにつけても美味。噛めば噛むほど旨みが増し、食べたあともその旨みが口の中で広がり余韻を残します。海の豊かさに山の木々は欠かせないという考えで、間伐材でつくった魚型のフォークが付いているのもポイント。
お店があるのは、2016年にユネスコ無形文化遺産に登録された「魚津のたてもん祭り」の地。そこでお店を切り盛りしているのは、地元魚津をこよなく愛するスタッフのみなさんです。元気で気さくなみなさんに会いに、お店にも訪れてみください。
富山のおいしさを自宅でも
お土産は旅の楽しみのひとつ。家に帰ってからも富山のおいしさを味わえるのもいいですよね。なかなか旅行ができない人でも、オンラインショッピングなどで注文できるので、ぜひ富山のおいしさを味わってください。富山に足を運びたくなるかもしれません。
富山の女性の「こだわり」に応え、「お気に入り」を提案する、ライフアップマガジン。2000年12月に創刊して以来、毎月2万5千部を発行し、富山県内、富山隣県のコンビニ・書店にて販売。日刊オンラインTaktでも、富山のさまざまな情報を発信しています。Web|Takt
credit edit:Takt編集部