山のイラスト
〈Play Earth Park Naturing Forest〉のプラザ棟のイメージパース
travel, well-being

世界的な建築家の共演。
自然あふれる富山県南砺市に開業予定、
プレイアースパーク ネイチャーリング フォレスト | Page 2

series|とやまwellbeing place

自然と共生する、6つの多様な建築

多くの建築家が参加していますが、フィールドはそれぞれだし、個性的。みなさんがどのように機能していくのでしょうか。「個性はそのまま生かしたほうがいい」と渡辺社長は言います。

「このプレイアースパークは、植物や動物、自然環境の多様性のなかにあります。それを前提にデザインするほうが、結果的におもしろく、ユニークなものになると思います。もちろん基本的なコンセプトはみなさん同じことを持っていますので、結果として生まれてくるものは整っていて素晴らしいものになるはずです」

〈Play Earth Park Naturing Forest〉のプラザ棟のイメージパース
プラザ棟のイメージパース。

まずは玄関口となるプラザ棟。ウェアやギア、食品などのショップが併設され、人が集う拠点としてプレイアースパークのエントランスになります。設計するのは川島範久さん。

「地形の切り替わりである結節点で、15メートルの落差があります。これを建物でつなげていく役割を持つプロジェクトです」(川島範久さん)

県産材の活用、雨水利用、ソーラー発電、地域材の再利用などを通じて、環境負荷を抑えた持続可能な空間を目指しています。こうした取り組みを通して、アメリカの認証機関による「Living Building Challenge」の日本初取得を目指しています。

「里山というのは、人間が関わっていくことで、逆にその相乗効果で自然を再生していく力があると思っています。そうした再生の要となるようなものをつくりたいと思います」(川島範久さん)

1本の大木のような建築の展望塔
展望塔のイメージパース。

レバノンのベイルート出身のリナ・ゴットメさんが設計するのは展望塔。まるで森の中に出現した1本の大木のようです。ここは森の中の観察拠点となります。地上20メートルにある展望台からは、敷地全体はもちろん、遠く砺波平野も望めるとか。

「下層では背の高い草や樹木の幹が視界を覆い、螺旋階段を登っていくにつれて、樹冠を抜け、広大な光景が広がります」(リナ・ゴットメさん)

地上階にはそれぞれの方角に自然観察の部屋が設けられていて、地下階にはガラス越しに土中の植物の根や虫のような感覚を得られるといいます。

「自然と人間が再び連帯感を取り戻し、探求する装置になるといいと思います。自分自身を自然の一部と捉え直すことは、建築のあり方も変化させるのです」(リナ・ゴットメさん)

周遊できるリング状の遊具建築
遊具建築のイメージパース。

パークエリアにある地形のような建築を設計しているのは、萬代基介さん。もともと7メートルほどの起伏があり、その地形に沿うように「屋根」をかけています。

円形に周遊できるリング状で、屋根の上にも子供が登れるような場所があり、内部空間もいろいろなマテリアルを使いながら子供の感性を刺激。自ら遊びを発見していくような場所になるといいます。

「いわゆる、遊び場の遊具みたいなものにならないようにしたいと思っています。大部分が半屋外空間なので、リングの中で遊びが閉じるというよりは、内と外が連続するような遊び。例えば滑り台を滑っていったら、知らないうちに外に出ていっちゃうとか。半屋外なので、降った雨が内側に入ってきてしまいますが、それ自体が遊びにつながったり、一緒に入ってきた落ち葉が遊びにつながったり」(萬代基介さん)

萬代さんいわく「子どもの野生を解放する建築」になりそうです。

散居村からインスピレーションを受けたヴィラ建築
ヴィラのイメージパース。

南砺市の散居村からインスピレーションを受けたヴィラは、榊田倫之さんにより設計されました。「控えめで小さく美しい建築」です。

「自分がどの場所に存在しているか、それを感じているかということを、ひとつの装置として体験していくという建築を構想しています」(榊田倫之さん)

それは空間の向きでもあります。

「やはり寝室で日が昇るのを感じたいし、昼間は南側から光がありますので、北側の風景がものすごく美しいです。そして西の山並みから夕日が降り注いでくる。そういう体験を、自分の存在を意識しながら感じてもらいたい。そういう仕掛けをつくっていきたいと思います」(榊田倫之さん)

〈Play Earth Park Naturing Forest〉のキャンプサイトのパース
キャンプサイトのイメージパース。

キャンプサイトは、イギリスの建築家コレクティブ、アセンブルによるもの。「富山のランドスケープから収穫してつくり出す」というコンセプトで設計しています。

「富山で出会った工芸品や人々のホスピタリティを、キャンプサイトのデザインや体験そのものに反映させています」(マリア・リソゴルスカヤさん)

もともと田んぼだった形状や高低差を利用。テントサイトごとに異なる植物を育てるなど、それぞれのランドスケープが生まれます。

調理棟やキャンプストアなどの施設は、地域の木材を構造材に、もみ殻や粘土を壁に使っています。また地場産業の廃材を原材料とした塗料による塗装も行っているといいます。

「地域の産業と協業して、農業、工業、工芸の知識や技術を学びました。単に建築に必要なマテリアルを調達するだけでなく、地域の経済的な循環やこのプロジェクトで生まれた新しいアイデアが、独立したプロジェクトとして成功するようなコラボレーションになるといいと思います」(マリア・リソゴルスカヤさん)

地形を生かして子どもたちが自由に探検し、発見が生まれるような仕掛けもデザインされているようです。

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