緑と水が織りなす癒しの絶景。
高山都が行く、立山の麓で育まれた
歴史と自然巡り | Page 2
feature|PRIVATE DOORS「高山都の五感で楽しむ、立山・上市リトリート」
〈千巌渓〉で出合った自然が生み出した癒しの絶景!
〈大岩山日石寺〉の六本滝を横に130メートルほど下ると一気に目の前が緑に染まります。青々と茂る草木や苔、勢い良く流れる川、そして小さな動植物たち。耳を澄ますと風に揺れる草木の音や川の水音が聞こえます。
訪れたのは〈千巌渓(せんがんけい)〉と呼ばれる渓谷。降り立った瞬間ひんやりとした湿気が体をまといます。
「気持ちいいですね。こだまとか妖精とかがいそうな幻想的な雰囲気。空気も全然違いますね。こういう緑や森に囲まれていると心も安らぐし、自然と深く呼吸ができる気がするんです」と言いながら何度も大きく深呼吸。
この大きな岩たちは、火山活動によりできたもの。約1600万年前、日本海拡大の過程でできたときの岩石です。岩には双岩抱き合う妹背岩、点空石、炉壇石、鯉梯石、蝦口石などの名前がつけられており、かつては修行の場にもなっていたのだそう。
「緑豊かな自然のなかにいると、視覚だけでなく、水の音、木々の匂い、吹く風の感触……と五感がフルに動き出しますよね。こうして歩いているだけで、おだやかな空気に心も洗われて、瞑想しているような気持ちになります」(高山さん)
この地が昔から山岳信仰の聖地として、長い歴史を重ねてきた重みと理由を感じられる場所です。
access:富山地方鉄道上市駅から車で約10分
散策の疲れを癒やす〈旅館だんごや〉の
美しすぎる名物そうめん
たっぷりと散策を楽しんだ後に味わいたいのが、名物の「大岩そうめん」。旅館やお食事処が並ぶ参道を歩いていると、あちらこちらに「そうめん」の文字が。情緒ある参道に佇む〈旅館だんごや〉は、100年以上前から修行のために訪れた僧侶のための宿として、この地に歴史を刻む由緒ある旅館です。
まるで糸が並んだように繊細な美しいそうめんと盛りつけに、高山さんも思わずうっとり。
「食べるのがもったいなく感じてしまうほど、美しいそうめんは初めてです。散策して疲れた体にも合うし、さっぱりしていておいしい!」(高山さん)
「生そうめんは、当館で粉から打ってつくっている自家製生麺を使っています。利尻昆布、干し椎茸、うるめ鰯で取った風味豊かなおだしを合わせています。お水は、立山連峰の雪解け水を使用し、ミネラルたっぷりでおいしさを引き出してくれるんです」と〈旅館だんごや〉の滝川さん。
「麺はキュッと締まって、喉越しはつるりと滑らか。想像以上にもちっとした食感で、いつも食べているそうめんとは全然違う感じがします。風味豊かなおだしとも合いますね」と箸が止まらず、高山さんも舌鼓を打つほどのおいしさ。
室町時代から戦国時代にかけて、多くの僧兵が訪れた〈大岩山日石寺〉。そうめんはその頃、精進料理を食べるお坊さんのために振る舞われていたのだそう。
大岩の冷たい水にさらされてコシの強いそうめんと、やさしいおだしが、お不動さんを拝み、新緑の渓谷を散策した体にもやさしく沁み入ります。寒い季節にはあたたかい「にゅうめん」も楽しめます。大岩山ならではの味わい、ぜひご賞味あれ。
tel:076-472-2306
access:富山地方鉄道上市駅から車で約10分
営業時間:11:00~15:00
休館日:4月下旬~10月末まで無休、11月以降は完全予約制
※最新の情報については、公式サイトでご確認ください。
Web:旅館だんごや
「派手なパワースポットというよりも、自分のペースを大切にしながら、この場にいるだけで心がおだやかになる。静かで厳かな時間を体験できました。豊かな自然に囲まれながら、いつもより少し時間をかけて長い階段を上ったり、水の音に耳をすませてみたり、深呼吸してみたり。神様や自然と対話しながら、ゆったりと時間が流れていて、リラックスしているけれど、どこかで集中している。その緊張感とのバランスがすごく心地よかったです」と高山さん。
少し足を延ばしてでも一度は訪れたくなる、富山の知られざる魅力が立山・上市エリアには、まだまだありそう。次はどんな旅になるでしょう?
1982年生まれ。モデル、女優、ラジオパーソナリティ。商品のディレクションなど幅広く活動し、丁寧な生き方を発信するInstagramも人気。趣味は料理、ランニング、器集め、旅行。Instagram|@miyare38
credit text:花沢亜衣 photo:黒川ひろみ hair & make:鈴木智香