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お気に入りの銭湯を案内する平井敦士監督
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富山県の銭湯が舞台の短編映画『ゆ』
平井敦士監督が語る、銭湯と映画 | Page 3

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それぞれに独自の魅力や歴史あり。
平井さんが愛する、富山の銭湯5選

帰国すると、決まって富山の銭湯に足を運ぶという平井さん。長期間行けない状態が続き久々に訪れると、毎回感動するといいます。

「普段から満たされていたら特別に感じないけど、長い間離れてから体験すると、ものすごく幸せを感じるんですよ。フランスに行ったばかりの頃、何年か日本に帰らなかった期間があるんですけど、今まで当たり前だったすべてのことに感動してしまって。地元に戻ってきたときの楽しみは、やっぱり食べものと銭湯ですね。長いフライトの後の銭湯は格別です(笑)」

富山には昔から銭湯文化が根づき、エリアごとにさまざまな個性を持った銭湯が存在します。風呂好きにとっては恵まれた環境でもあるのです。そのため近所の銭湯はもちろん、平井さんのようにいくつか行きつけがあり、気分や目的によって行き先を変えるという人も少なくないとか。ここでは平井さんが選ぶ富山のおすすめ銭湯を紹介していきます。

川城鉱泉(魚津市)

川城鉱泉の外観

「『ザ・銭湯』という風情ある空間と建物がたまりません。古き良き日本の銭湯を体験するには一番。松任谷由実やジブリの主題歌が流れているのもいいし、風呂上がりにテレビの前に集まって、みんなで相撲を眺めている様子なんかもいい。お湯の温度は熱め。漁師が多いから、さくっと入ってあたたまって帰るって感じの銭湯ですね」

たから湯(富山市)

たから湯の入口

「サウナに入りたいと思ったらここへ。開業当時から続けている軟水浴場が自慢で、男湯には露天風呂が設置されています。ゆるいヴォリュームで流れているラジオもまたいいんですよね。事務所を近くに借りているので、富山に滞在しているときはよく行きます。清潔感があってバランスも良くて、機能的ないい銭湯だなあと思います」

古宮鉱泉(富山市)

古宮鉱泉の外観

「おそらく県内で2番目ぐらいにお湯の温度が熱い(自分調べ)。ちなみに1位は〈竹の湯〉ですね。熱めのお湯でもギリギリ入れる温度と、絶対茹でにかかっているだろうっていう温度の2種類がありますよね。いつも普通に入っているおじいちゃんがいるけど、大丈夫だろうか。タイル絵と古い形の浴室もいい。珍しい椅子にもご注目ください」

水橋温泉 ごくらくの湯(富山市)

水橋温泉ごくらくの湯の外観

「銭湯というよりも温泉。お湯がものすごくいいんです。露天風呂もあって、純粋に温泉としてすばらしい。疲れが溜まって体を回復させたいと思ったときにきています。休憩室には畳のスペースがあって、よくここで脚本を書いたりしていました。書いて煮詰まったらお湯に浸かって、ひとやすみしてまた書いて。思い出の場所ですね」

マルトミ鉱泉(富山市)

マルトミ鉱泉外観

「地域の人に愛されている銭湯という感じ。立派な日本庭園があって、お湯に浸かりながら眺められるのが贅沢です。富山では「鉱泉」と名がつく銭湯が多く、これは水道水ではなく地下水を沸かしているというもの。ゆえに良い成分を多く含むのだそう。お湯自体は滑らかで、湯冷めしにくいような気がします。銭湯といっても実にさまざま」

平井敦士さん
Profile 平井敦士

1989年、富山県富山市水橋生まれ。東京の映像専門学校(バンタン映画映像専門学院・映画監督本科)を卒業し、2012年に渡仏。パリの映画学校(ESEC)で学んだ後、 映画監督ダミアン・マニヴェルに師事。助監督として多くの撮影現場に参加し映像制作を学ぶ。地元である富山市水橋で撮影した短編映画『フレネルの光』が、第73回『スイス・ロカルノ国際映画祭』のインターナショナルコンペティション部門にノミネート。米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭『SSFF&ASIA 2021』ジャパン部門グランプリ、東京都知事賞受賞。
続く『ゆ』は、フィンランド『タンペレ国際短編映画祭 インターナショナル・フィクション部門』最優秀賞、チェコ『Pragueshorts国際短編映画祭 インターナショナル部門』グランプリ、リトアニア『Vilnius国際短編映画祭 インターナショナル部門』グランプリ、パリ『Paris Courts Devant国際短編映画祭 フィクション部門』審査員賞受賞、世界最大級の短編映画祭『クレルモン=フェラン国際短編映画祭 ナショナル部門』ノミネート、コロンビア『BOGOSHORTS国際短編映画祭 インターナショナル・フィクション部門』最優秀賞、ポーランド『ŻUBROFFKA国際短編映画祭 インターナショナル部門』優秀賞、カナダ『第52回モントリオール・ニュー・シネマ国際映画祭 短編部門』グランプリ、『カンヌ国際映画祭 監督週間』正式招待、スペイン『サンセバスチャン国際映画祭』正式招待。

credit text:井上春香 photo:日野敦友

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