〈#SilenceLAB〉の活動が目指すもの
2021年には高岡市の〈芸文ギャラリー〉で『わびさびポット展』を開催、2022年には金沢市でも個展を開催するなど、積極的にイベントへの出展やPR活動を行ってきました。アートディレクターにカイジュウインクさんがいることで、さまざまなビジュアルもデザイン性の高いものに仕上がり、徐々に認知度も上昇。地元のテレビにも取り上げられる機会が増え、橋本さん扮する「ハシモトボタニカル」というキャラクターまで生まれました。
今年からは東京・渋谷の〈東急ハンズ〉でも取り扱われることになり、〈わびさびポット〉の名は全国に広がってきています。しかし橋本さんは認知を広めるだけで満足する気はないと語ります。
「最終的には、この〈わびさびポット®〉をきっかけに高岡に来てもらいたいと思っています。そして高岡の鋳物やそれを生み出す技術に興味を持ってもらって、何かをつくりたいと思う人が増えたら最高ですし、シンプルにもっと高岡を知ってもらいたいです。高岡は鋳物が盛んですが、おじいちゃんがひとりでやってる工場もあれば、〈能作〉さんみたいな大きいところもあっておもしろいですよ。〈#SilenceLAB〉でも鋳物工場をめぐるディープなツアーをできないかなと思っています」
仏具をつくり続けるまちであるために。そのためには高岡というまちを知ってもらうことが重要だと橋本さんは考えます。〈わびさびポット®〉では主に香炉を活用しましたが、まだ大量の仏具のデッドストックが〈ハシモト清〉の倉庫に眠っています。〈わびさびポット®〉に次ぐ、第2、第3のプロダクトが生まれる可能性もありそうです。
高岡というまちを守るための取り組みが、今後どのように生まれていくのか。〈#SilenceLAB〉は未来の可能性に満ちています。
credit text:平木理平 photo:朝岡英輔