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富山の8月の寿司ネタ・ノドグロ、オオエッチュウバイ、シロギスの3貫
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【8月|富山のすしネタ】
今が旬! 真夏の富山湾を味わおう。
ノドグロ、オオエッチュウバイ、シロギス。

series|富山のすしカレンダー

四季折々の旬の魚を食べ逃さないための「富山のすしカレンダー」では、日本各地を飛び回るすし作家・岡田大介さんによる、3つのすしネタを食べ頃ポイントとともにお届けします。多種多様でおいしい魚が獲れる富山湾。今がまさに旬のノドグロ、オオエッチュウバイ、シロギスをご紹介します。

8月のすしネタ①|ノドグロ

ノドグロの握り

食べ頃ポイント:極上の脂を余すことなく食べたい

水深の深い富山湾には、多くの深海魚たちが生息しています。中でも圧倒的人気、圧倒的評価を得続けているのがノドグロ(アカムツ)です。

サイズ問わず、そしてどの部位を食べても安定した脂がのっているため、ストレートに魚の旨みを感じることができます。塩焼きにして食べようと、じっくり焼き始めると滴る艶やかな脂。よく「余分な脂を落としてさっぱりと」なんて表現がありますが、ノドグロに関しては「脂を1滴も無駄にしたくない!」なんて、欲深い気持ちが出てしまうくらいの極上の脂をまとっています。

おすしにするなら皮付きのまま炙りがおすすめ。熱せられて溶け出したノドグロの脂が酢飯に染み込んだところで上からお塩をパラリ。口に入れた瞬間から、飲み込んだあとの余韻まで、口内がずっと「おいしい」で包まれます。悶絶という言葉がピッタリのすしダネ、ノドグロ。富山では、8月あたりからお楽しみいただけますよ。

8月のすしネタ②|オオエッチュウバイ

オオエッチュウバイの握り

食べ頃ポイント:溢れ出る貝汁を酢飯と混ぜ合わせて

富山湾の水深の深いところに生息するオオエッチュウバイは、ずんぐりと大きく、それでいて、割れやすい薄い殻をもつ貝です。煮付けにして、ブリンと引き抜き味わう食べ方が富山の郷土料理として知られていますが、新鮮なうちにさばけば、お刺身やおすしにすることもできます。

水揚げ量がそんなに多くないため、すし屋さんで出合えたならラッキーです! シコシコとした独特の歯応えが魅力。お刺身として切っていただき生のオオエッチュウバイを単体で満喫するもよいのですが「寿司といえば、富山」ですから、可能であれば、ぜひすしとしてのオオエッチュウバイを味わってみてください。

噛むたびに溢れ出る貝汁を酢飯と混ぜ合わせるように貝をよく噛んで食べるのがおいしく味わうポイント。

8月のすしネタ③|シロギス

シロギスの握り

食べ頃ポイント:すし、てんぷらで二刀流

キスは好きですか? マグロやカツオ、アジやサバなどと比べると淡泊なあじわいと表現されることが多いキスですが、比較せず、キス単体で味わい評価してみると、十分に旨みを感じることができます。

日本人は、世界的にみても特に味覚が繊細で優れているということが度々話題になりますが、きっとじっくり食べるとキスの味が感じられるはず。授かったこのすばらしい味覚センサーを発揮しながら、味わってみてください。水深の深いイメージがある富山湾ですが、浅い砂地、すなわちキスの生息域もしっかりとあります。

日本を代表する料理、すし、てんぷら。そのどちらのフィールドでもすばらしい活躍をみせるキス。キスのすしは、酢飯が名脇役となり、キスを持ち上げてくれます。味付けは最小限にし、口の中でじっくりとキスを感じてください。

Profile 岡田大介

1979年生まれ。すし職人歴27年。東京都文京区にてすし屋「酢飯屋(すめしや)」を経営する。現在は海、魚、すし、海藻にまつわる様々な情報を伝える「すし作家」として活動中。ディープなブログとSNSで発信し続け、料理人の新しい働き方を、体を張って日々探し続ける。著書に『すし本 海から上がって酢飯にのるまで』(大和書房)など。Web|酢飯屋 Instagram|@okadadaisuke_sumeshiya

credit text:岡田大介 edit:花沢亜衣 
参考文献:『すし本 海から上がって酢飯にのるまで』(大和書房)

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