山のイラスト
インタビューを受ける〈家’s〉の伊藤昌徳さん
craft

「古いものは捨てる」を改める。
アップサイクル家具を生む〈家’s〉の挑戦 | Page 3

series|リメイド・イン・トヤマ

今こそ、捨てられてしまうモノの価値を見直すとき

伊藤さんにとって、印象深い光景があります。それは空き家に残されたタンスなどの古い家具に出合い、どうビジネスの活路を見つけようか、もがいていた時期でした。たまたまゴミの最終処分場を見学する機会があったそうです。目の前に広がっていたのは、ものすごい量のゴミ。“ゴミの谷ができていた”。そこで自らのなすべきことを改めて考えたといいます。

「最初はゴミの問題に対してもそこまで深く考えてなかったのですが、ゴミの景色を見せてもらったときに、本当にもったいないと思いました。燃やせないものは、質のいいものもまだ使えるものも全部埋め立てられてしまう。その一方、安いものがどんどんつくられて僕らはそれを買っていく。それでいいんだっけ? と思ったんです」

趣のある古民家が並ぶ高岡市福岡町の風景
高岡市福岡町の県道266号線沿いに事務所を構える家’s。このあたりは江戸時代に菅笠問屋で栄えた。

日本の社会構造を考えると、これらの課題はもう待ったナシです。

「日本全国でものすごい勢いで空き家は増えていますし、同時に大量の家具や道具も捨てられています。団塊の世代の方々も終活を始めています。多分あと10〜15年くらいで昔の日本のいいものがほとんど全部捨てられてしまうのではないか、そういう危機感もあります。使われなくなって、捨てられてしまうだけのものの価値をもう一度見直して、再利用やアップサイクルで循環させていく仕組みをスピード感をもって整えないといけない。そのためには、今は富山でやっていますけど、北陸や全国にまで広げていきたいです」

インタビューを受ける伊藤昌徳さん
次のブランドの構想を語る伊藤さん。「掛け軸」で何かできないかと考えているそうです。

古き良きものが、その価値を顧みられることなく、どんどん捨てられ、壊される。そして必要以上の新しいものが生まれていく。「サステナブル」が謳われる社会の裏側で、確実にそれに反した営みが今もまだ繰り返されています。そこに「待った」をかけられるか、伊藤さんの挑戦はこれからも続きます。

「今はいいものを生み出すことに注力しています。生み出された商品の価値が適切に発信されれば、自然と流通する数は増えていき、循環の輪は大きくなっていく。その輪をできる限り大きくしていきたいです」

自然といいなと思って手に取ったものが、アップサイクル商品だった、それが理想です。
富山から日本全国へ。伊藤さんが見据える未来は大きく、しかし切迫しています。これからの日本社会がより豊かになるうえで、最前線の闘いの場に〈家’s〉はいるのです。

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コロカル
※日本のさまざまな場所とつながり、新しい日本の魅力を発見するウェブマガジン『コロカル』では、〈家’s〉代表取締役の伊藤昌徳さんがプロジェクトメンバーとして参画する“家具の循環を体感できる”複合施設〈トトン〉を紹介しています。こちらもご覧ください。
Web:コロカル

credit text:平木理平 photo:朝岡英輔

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