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富山の5月の寿司ネタ・シロエビ、ウスメバル、サワラの3貫
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【5月|富山のすしネタ】
初夏の富山湾も多彩な魚が豊富!
シロエビ、ウスメバル、サワラ

series|富山のすしカレンダー

1年を通じて多種多様でおいしい魚が獲れる富山湾。四季折々の旬の魚を食べ逃さないための「富山のすしカレンダー」。毎月3つのすしネタを、すし作家・岡田大介さんの食べ頃ポイントとともにお届けしています。今がまさに旬! 5月におすすめのシロエビ、ウスメバル、サワラをご紹介します。

5月のすしネタ①|シロエビ

シロエビの軍艦巻き

食べ頃ポイント:ひとつひとつ殻むき!? 富山だけのお楽しみシロエビ

すしネタとして出てくるエビって何種類くらい思い浮かびますか? クルマエビ、アマエビ、ボタンエビ、サクラエビ、シバエビ、イセエビ、ブラックタイガー…。そして、富山湾が誇るシロエビ、といったところでしょうか。

どれもエビ、すなわち甲殻類に分類される仲間なわけですが、それぞれ生息域や容姿の見た目、体長、体重が異なり、味や食感も違います。もちろん価格も。エビと一言でいってもどれも違うところがエビのおもしろさでもあります。

全く異なるエビたちの特徴を漁法や食べ方で工夫し、今日まで文化として受け継がれてきているわけです。ずらりと並べた上記のエビをすしにして食べる場合、一般的にはこのようになります。

クルマエビ:生または茹で
アマエビ:生
ボタンエビ:生
サクラエビ:生または釜揚げ
シバエビ:おぼろ
イセエビ:生
ブラックタイガー:茹で
シロエビ:生または釜揚げ

ほとんどのエビが生で食べられることがわかりますね。また、多くのエビは殻をむいて食べますが、体長も小さく、殻も柔らかいサクラエビだけは殻ごと食べることができます。

そのほかのエビは、殻ごと食べるにはちょっと大きく、硬いこともあり殻をむくわけです。シロエビも同様です。小さめな体長にも関わらず、殻ごと食べるにはちょっと硬い。富山で食べることができるシロエビのすしを見てみてください。

一体、何匹のシロエビがこのすしに使用されているのだろう。そのすべての殻を誰かがむいているのだということをぜひ頭に入れて、感謝していただきましょう。
そして、もし機会があったらシロエビの殻を自分でむいてみてください。きっと、もっとその価値に気付かされることでしょう。

5月のすしネタ②|ウスメバル

ウスメバルの握り

食べ頃ポイント:富山の初夏はウスメバル

ウスメバルと聞いて、ぱっと見た目まで思い浮かんだあなたは魚知識の上級者です。多くの方は、薄いメバルの仲間? と文字から想像したのではないでしょうか。メバル類は種類も多く、見分けるのが困難な魚のひとつですが、ウスメバルは、黄色で縁取られたクリっとした眼と、薄いオレンジとピンクが混ざったような赤系の体が特徴的。

焼き魚や煮魚で食べられることが多いですが、現代の冷蔵設備や流通のおかげで、鮮度が保たれたウスメバルは加熱調理しなくても、すしネタとしても十分な身質をしています。

富山湾の豊富なエサをたっぷり食べたウスメバル。

そのなかでも特に背中の筋肉がモリッと盛り上がったような肉厚な個体は噛み締めるごとに味を感じるほどの白身で、刺身で食べるよりもすしで食べるとそのおいしさをより強く感じることができます。

その秘密は、酢飯。酢飯がもつ酸味と甘みに魚の旨味、そこに醤油などの塩気が加わることで、ワンランク上のおいしさが生まれるというわけです。ぜひ、ウスメバルに出合ったらすしで食べてみてください。

5月のすしネタ③|サワラ

サワラの握り

食べ頃ポイント:魚へんに春と書いて、鰆(サワラ)の真実

漢字だと鰆と書かれるくらい、春の魚の代表として名高いサワラ。「春においしいからだよね?」とよく話題にされますが、日本各地を見渡すと地域ごとにサワラの旬は異なっています。秋や冬に脂がたっぷりとのった極上のサワラが水揚げされるところが多いのも事実です。夏にサワラがおいしくなる! というのはあまり聞いたことがありませんが、富山湾のサワラは5月がおいしいとされています。

さて、みなさんはサワラの歯を見たことがあるでしょうか? 獰猛という言葉がピッタリなほど、ずらりと並んだトゲトゲの牙。釣り糸なんてスパっと切れるほどの鋭い歯は、肉食魚の象徴的な特徴ともいえます。泳ぐスピードも速く、食べたい獲物を上手に捕食して大きく成長していくサワラは、解体し胃袋を開くと、大抵おいしい獲物が入っています。

富山湾のサワラの場合、多くはイワシ類です。イワシのおいしさは皆さんご存知だと思いますが、おいしい、すなわち旨みが多い魚をたくさん食べた魚は、やっぱりおいしいわけでして。サワラの身はたっぷりの旨みと栄養が詰まった魚肉と呼ぶに相応しく、食べ応えがあります。

皮を引いて醤油を弾くほどのトロのような舌触りのすしも、皮を炙って香ばしさと脂を酢飯と一緒に口の中で一体化させる炙りサワラも、想像するだけで食欲をそそりますね。

岡田大介さん
Profile 岡田大介

1979年生まれ。すし職人歴27年。東京都文京区にてすし屋「酢飯屋(すめしや)」を経営する。現在は海、魚、すし、海藻にまつわる様々な情報を伝える「すし作家」として活動中。ディープなブログとSNSで発信し続け、料理人の新しい働き方を、体を張って日々探し続ける。著書に『すし本 海から上がって酢飯にのるまで』(大和書房)など。Web|酢飯屋 Instagram|@okadadaisuke_sumeshiya

credit text:岡田大介 edit:花沢亜衣 
参考文献:『すし本 海から上がって酢飯にのるまで』(大和書房)

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