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富山の6月の寿司ネタ・サザエ、マアジ、トビウオの3貫
travel, gourmet

【6月|富山のすしネタ】
夏のはじまり! 富山湾の豊かな海の幸。
サザエ、マアジ、トビウオ。

series|富山のすしカレンダー

四季折々の旬の魚を食べ逃さないための「富山のすしカレンダー」では、日本各地を飛び回るすし作家・岡田大介さんによる、3つのすしネタを食べ頃ポイントとともにお届けします。多種多様でおいしい魚が獲れる富山湾。今がまさに旬のサザエ、マアジ、トビウオをご紹介します。

6月のすしネタ①|サザエ

サザエの握り

食べ頃ポイント:サザエには「海の恵み」が詰まっている

誰しもその名前を聞いたことがあるサザエ。くるくるとした形状でどっしりとした見た目の巻き貝の一種で、全国各地に生息していますが、6月頃から富山湾では本格的なシーズンをむかえます。

主に海藻類をエサとして大きく育つため、全国屈指の海藻を有する海である富山湾のサザエは、身の肉付き具合や味わいにも大きな影響が出てきます。例えるなら、凝縮した海藻の旨みと表現すればよいでしょうか。

普段、海藻を食べるときは海藻単体の味わいを生かした料理でいただくことが多いかもしれませんが、サザエの味わいは、さまざまな種類の旨みの強い海藻を同時に食べているかのよう。「磯っぽい」とか「海の味」などと表現されることがありますが、まさにその通り。「海」という調味料が魚介類をおいしくし、そもそも「海」自体がおいしい食べものなのかもしれないとさえ感じさせます。

生で歯ごたえを楽しみながら、ジュワジュワと出てくるサザエの旨みと酢飯を絡めたすしで楽しむもよし、しっとりと柔らかく火入れしたサザエをじっくり噛み締めるもよし。年に何度かは食べたい、海の恵みの象徴です。

6月のすしネタ②|マアジ

マアジの握り

食べ頃ポイント:脂ののったマアジはおいしく、栄養たっぷり!

アジを語らせたら我こそは! という方が日本各地、いや世界各国にいらっしゃるのではないでしょうか。各地の海域に生息し、大衆魚として長年愛され続けているアジ。すしでアジといったら、その多くはマアジのこと。

嘘か本当か、味が良いからアジという名前になったんだと職人の先輩たちから教わり、職業柄、これまで数えきれないほどのアジ料理、アジのすしを握っては食べてきたわけですが、たしかに、よっぽど状態の悪いアジでない限り、味の悪いアジと出合ったことはありません。身そのものが旨いのです。旨い魚の基準に、「脂ののり具合」がわかりやすく評価されますが、脂があれば、それはほかの魚でもおいしく感じます。

しかし、アジは脂がなくても旨みが強いんです。そんなおいしい魚が6月からの富山湾では脂も備えて皆さんをお待ちしています。脂ののったアジ、酢飯、それを引き立てる薬味と調味料。酸っぱさ、甘さ、辛さ、旨みが口の中で入り乱れて、結果めちゃうまい。

これがマアジのすし。鮮度抜群の光り物は、おいしいだけでなく体が喜ぶ栄養素までも豊富なので、マアジのすしは、ひとつだけでなく、2つ、3つとDHA補給を口実に楽しんじゃってください。

6月のすしネタ③|トビウオ

トビウオの握り

食べ頃ポイント:干しても生でも好パフォーマンス

トビウオを食べたことがあるという方は、実はあまり多くいらっしゃらないのではないでしょうか。実は日本でも多く水揚げはされているのですが、そのほとんどが加工原料として流通していきます。「あごだし」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが「あご」がトビウオのこと、出汁用に乾燥加工されて身の旨みを凝縮させることで、抜群の出汁が出るんです。

富山湾には冷たい雪解け水が河川を伝わり流れ込む時期、春から続く植物プランクトンたっぷりの富山湾には、それを食べる動物プランクトンが成長し、さらにそれを狙ってトビウオも集まってきます。鮮度の良いトビウオは、もちろん生で食べることができます。

皮を剥ぐとキラキラと銀色が輝いて、うっすらとのった脂と爽やかな香りが酢飯との相性もよく、すしを食べる順を問われたなら、前半に組み込みたい上品なすしダネです。いつでも食べられるすしではありませんので、もし富山で見かけたならぜひ、注文してみてください。

最近、改めて酢飯のすばらしさを感じています。白いごはんで食べるお刺身定食も十分おいしいのですが、酢飯で食べる海鮮丼のほうが圧倒的においしく感じ、一つひとつを酢飯で握った握りずしに至っては、人を感動させることができるほどの一品になりますからね。最後の晩餐にすしを選ぶ方が多いのも納得できます。

岡田大介さん
Profile 岡田大介

1979年生まれ。すし職人歴27年。東京都文京区にてすし屋「酢飯屋(すめしや)」を経営する。現在は海、魚、すし、海藻にまつわる様々な情報を伝える「すし作家」として活動中。ディープなブログとSNSで発信し続け、料理人の新しい働き方を、体を張って日々探し続ける。著書に『すし本 海から上がって酢飯にのるまで』(大和書房)など。Web|酢飯屋 Instagram|@okadadaisuke_sumeshiya

credit text:岡田大介 edit:花沢亜衣 
参考文献:『すし本 海から上がって酢飯にのるまで』(大和書房)

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